子宮頸がんなのに、がんにならないってどういうこと?
そう思われますよね。
それは、子宮頸がんの多くがハイリスク型HPVというウイルスに持続的に感染するによってがんになっていくということがわかっているからです。そして、そのHPV感染の状態は遺伝子検査をしたり、顕微鏡で細胞を見たりすることによって、かなり早い段階からわかるのです。
HPVはセックスによって男性から女性の膣の中へを送り込まれます。それなので、セックスをするようになったら、定期的に子宮頸部の細胞やHPVの感染をチェックしていくことが大事なのです。
上の図は、子宮頸部の細胞が正常な状態からHPV感染をし、子宮頸がんへと向かっていく様子を示しています。
ほとんどの場合、HPVに感染しても自分の体の免疫力でウイルスが子宮頸がんにならずに消滅していきます。
ただ、約10%の場合において、持続感染が続きがんへの道を進み始めてしまうのです。その最初の段階で見られる細胞の変化の段階をASC-SUSと言います。
ASC-USからLSILへと進んでいくのですが、この段階ではまだ何もする処置はありません。フォローアップをし、これ以上ひどくならないように経過を見ていくだけなのです。
HSILまで行ってしまうと、がんの直前。ここまで来て初めて処置の対象になります。でも、まだがんではないので、子宮の入り口の感染部分を少し切るだけなので、子宮の子供を作る部分(子宮体部)は温存できるので、将来子供を産める可能性を十分に残すことができるのです。
一昔前は、HPVに感染してからがんになるまで、7年から10年かかると言われていました。でも、最近はセックスデビューの若年化により、早い人では10代で感染してしまいます。なので、20代後半に妊娠して妊婦健診に行って初めて子宮頸がん検査をして、子宮頸がんがあることが見つかるのも珍しい話ではないのです。
また、若い身体では、がん細胞も若くて元気なので、進行が早いとも言われています。
セックスをするようになったら、ワクチンを受けていてもいなくても、10代でも20代でも「私はまだがんなんて」と思わずに、定期的に検査を受けましょう。